第12回さんかくサロン(地域おこし協力隊ー情報発信編)

先日、「わがまち広報作戦会議」と題して、第12回さんかくサロンを開催しました。

ゲストスピーカーとして、那須烏山市の地域おこし協力隊(イベント日現在)の榎本さんをお招きし、情報発信を切り口に話題提供していただきつつ、参加者同士でこのまちの情報発信のあり方について議論を交わしました!

想定を大きく超える19名の参加者が集まってくれ、かなり密度の濃い空間と時間になりました。



【ゲストからのレクチャー】

まずは恒例のゲストからのレクチャーの時間。

イベント数日後に地域おこし協力隊(以下、協力隊)隊員の任期を迎えるというタイミングでゲスト出演してくださった榎本さん。

協力隊の活動期間のうち、重点的に活動対象としたのがこのまちの情報発信についてでした。中でも、特に大きな時間を割いたのが『やみぞMagazine』というローカルウェブメディアの運営。

協力隊として赴任して、この那須烏山についてまず感じたのが、「外の人にとって、このまちの知名度が低い」ということと「このまちの人(=中の人)が、この地に魅力的なものがあまりないと言う」ということだったそうです。

前者は発信力の弱さが、後者は気づいていないことがそれぞれ原因になっているのではという仮説を立て、外の人向けと中の人向けのそれぞれの目線で情報の発信力の強化が必要と考え、地域の内外に地域に関する情報発信をするローカルメディアを立ち上げることにしたとのことです。

メインコンテンツの一つは地域の人々に対するインタビュー記事の配信で、インタビューを行なう過程で、地元の住民とコミュニケーションをとることでよそ者の自分が市内のことを深く知る機会にもなり、またインタビュアーに対しても地域のことを改めて考えるきっかけを提供する機会になるなど、副次的な効果がいくつもある良いプロジェクトだと思いました!

こちらが『やみぞMagazine』のホーム。

実際のページはコチラhttp://yamizo830.com/


ローカルメディアの運営の他に、ツイッターやFacebookも同時に使いこなして那須烏山の魅力を内外に発信している榎本さんですが、協力隊という客観的な立場からこのまちの情報発信について、いくつか気づいたことがあると言います。

例えば、市内にはいくつもの広報・宣伝媒体があるにもかかわらず、適材適所で使われていない印象を受けたそうです。「観光パンフレットは市内に置いてある(=来た人に手に取ってもらう)だけでは不十分で、まだ知らない人へアプローチするためにも市外・県外へ配ることも必要」といった目からウロコのアイデアを聞くと、確かにもったいない気がしてきました…。

また、「市内向けの情報発信は紙媒体の回覧板などが強いが、若い世代にとっては不便な面もある」や「公的な情報発信(例えばホームページ)では公平性が求められ、印象が薄い」という指摘も薄々気づいていた点を突かれ、改善の余地は至るところにあるなぁと改めて思わされました(苦笑)


【トークセッション】

続いてゲストとのトークセッションタイム!

普段、地元のイベントなどで会えば立ち話をするような気さくな間柄ですが、こうして相対してみると案外と緊張するものです(笑)

ゲストトークがもりだくさんだったため、時間の関係で2~3に絞って質問を投げかけてみました。

実は私もかつて榎本さんからインタビューを受けたことがありまして、手間暇をかけてこんなに素晴らしい記事を書いてくださったことを思い出したので、情報発信のプロジェクトを展開してみてできたこと/できなかったこと、個人でやることのメリット/デメリットについて聞いてみました。

すると、

「那須烏山を知らなかった人が遊びに来てくれた」

「よく知ってるはずの人の考えを可視化できた」

「個人や地域の物事を深く掘り下げることができた」

「その結果、いつも見ているものが違って見えた。つまり、“見る”から“視る”に変わった」

といった感想がプロジェクトを通した感想として挙げられました。

一方、例えばインタビュー記事は、インタビューに加え、文字起こしや文章化、インタビュアーへの文章チェックなど時間を要する作業が多く、まとめるのに非常に大変な労力を費やすもので、更新頻度がなかなか高められなかったのが課題とのこと。

確かに、まとまった分量のブログの更新って結構シンドイものですよねぇ、、よく分かりますヨw


また、“発信の力・個人の力の可能性”というキーワードで語っていただいた中で、「発信する側も話を聞かれた側も当事者意識が生まれる」というフレーズが出されたのは印象的でした。

単に見聞きしたり経験したりしたものをそのまま(無意識に)流してしまうのではなく、文字や写真として編集するプロセスを経て意識的に向き合うことで、その物事が自分事化されていくということなのでしょうか。

なんだかさんかくサロンっぽい気づきの瞬間でした!


【意見交換ワーク】

そして、本日の目玉である後半の意見交換ワークへ。

実は今回、このまちの情報発信に関わりや関心を持つ参加者を多く募ったところ、行政(広報部門、観光部門、定住促進部門)、民間(観光協会、社協、商工会、新聞社、図書館)、事業者(IT関連、福祉、農家)、市民(facebook利用者、まちづくり団体、情報発信ボランティア)というような、今までにない幅広い多様な参加者が集まってくださいました!

せっかく同じ場に集まれたので、このまちの情報発信に関して何かしら共通認識といいますか、思いをシェアしたいという目論見から、いつもとは趣向を変えたやや専門的なワークを練ってみました。

それが「情報発信ツールのポテンシャルチャートを作ろう!」という企画です。

例えば、私も個人的なボランティアのプロジェクトで「イベントカレンダー那須烏山」というウェブサイトを立ち上げて細々と運営しているのですが、その情報発信ツールの特徴を他の参加者と一緒に考えてあぶり出そうというワークです。

参加者はこの地域のことや地域で暮らす自身の生活、地域に根差す事業のこと等を自身で運用する情報発信ツールを通じて市内外に積極的に発信している方々ばかりです。

そんな各自の情報発信の手段について、①情報の公平性、②情報の自由度、③市外の人からのアクセスのしやすさ、④市内の人からのアクセスのしやすさ、⑤蓄積された情報の使いやすさという5つの評価指標について、それぞれ5段階で評価したチャート図を他の参加者と一緒になってああでもないこうでもないと言いながら作ることで、他の情報発信の主体について知ることにつながり、またひるがえって自身の情報発信ツールの長所や短所を認識する機会になればいいなというのが第一の狙いです。


ちなみに完成するとこんな感じになります。

まだまだ認知度不足のため、アクセスのしやすさの評価が思ったより低くなってしまっているので、もうちょっと頑張らないといけませんねぇ~(汗)

個人的に感じたのが、ウェブ+SNSの組み合せは最強です。


また、第二の狙いとして、各情報発信ツールが相乗効果を生みながら力を発揮できるようにするためのアイデア出しの問いも設定していたのですが、チャートを作るための意見交換でかなり盛り上がってしまい(思い切って40分もの時間を確保したのに!)、そこまで十分に議論できなかったのが残念でした!!

がっつり議論から始める班もあれば、スマホを片手にそれぞれの情報発信ツールを実際に見ながら意見を出し合う班もあり、班ごとに多様なアクティビティが見られた興味深いワークショップでした♪

その後は各班で出た意見などを全体で共有して、意見交換ワークは終了。

こちらで出したお題に対して議論する時間が圧倒的に足りなかったですね、、

すみませんでした!


【まとめ】

開催して実感したのが、「情報発信」にかかわるプレーヤーはかなり幅広く、そもそも「情報発信」というワード自体もバズワード的なところもあり、なかなか核心に迫れないということでした。

また、意見交換ワークの中では「場所」というキーワードも出され、ツール(紙媒体orウェブ)という切り口の他にも、場所や受け取る手段(ex.図書館でのビラ配布、自治体内での回覧板、全市民を対象としたエリアメールetc...)という切り口もあり、その効果的かつ最適なミックスを考えるのも面白いなと思いました。

一口に情報発信といっても切り口によって様々な様相を見せるものなので、何かしらに絞って議論しないと、誰にとってもとっつきやすい分野である反面、本質的な議論として深まっていかない危うさも孕んでいるなと気づかされました。


それにしても、情報発信に関わるプレーヤーや関心層が同じ場所にこれだけ集まることができたのは、望外の収穫だったと思います!

開催直後のアンケートでも

「同じ方向を向く団体の横串イベントの重要性を感じました」

「各団体又は個人において情報発信を行なっていることが分かった。しかしシェアされていないため周知力が弱い。今後共有を図り周知力を高めることが必要」

「情報の共有が重要」

といった感想が多く寄せられまして、この分野に関する課題や解決策を同じプラットフォームのようなもので共有していくことが求められているのだなと痛感しました。

せっかく集まった縁ですので、近い将来、もうちょっとテーマを絞り込んだ第二回を開催せねばと、使命感を感じずにはいられない夜となりました。

次回の開催を乞うご期待くださいませ。


参加いただいた皆様、ありがとうございました!

さんかくサロン

他人任せのままで、このまちの将来ってホントに大丈夫? 那須烏山市を中心に、市民が地方政治に主体的に参画していくための、きっかけづくりの場です。 当面は、市政に関する正しい知識や課題を分かち合うための情報交換の場にしていきます。

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