先日の下野新聞の一面に「県内議員報酬に格差」という見出しで、県内の地方議員の月額報酬の差についての記事が目に飛び込んできました。
以下、記事の転載です。
県内の全25市町議会の月額報酬(一般議員)のうち、最も高い宇都宮(67万円)と、最も低い那珂川(22万円)で3倍の開きがあることが12日までに、下野新聞社の県内議会アンケートで分かった。町議(11町)の平均は25万1182円で、市議(14市)の41万3071円と比べ約16万円少ない。市議と町議の格差が浮き彫りとなっており、現職議員からは「若い世代のなり手不足にもつながっている」などの声も上がる。(下野新聞11月13日朝刊)
記事の横には県内議会の月額報酬と過去20年間の改定状況の図表が配され、各市町及び市町平均の議会の月額報酬が比較できるようになっています。
これだけの情報ですと、宇都宮市と那珂川町の差の開きがクローズアップされるとともに、町議の報酬の少なさが印象に残る記事となっています。
しかし、センセーショナルな内容だけに少し違和感を覚え、肝心な情報が少ないのではと、いくつかの情報を加えて図表を整理してみたのがこちら。
各市町の「人口」(※)のデータと議員数(定数)を追加し、更に人口を議員数で割った「議員一人あたりの人口」という加工データも加えてみました。(※有権者数ではなくあくまで人口であることに留意)
ちなみに、わが那須烏山は分かりやすく赤くマーキングしてあります。
すると、記事の内容とは別の様相が垣間見えてきます。
「議員一人あたりの人口」とは、一人の議員が、非有権者(未成年者など)を含むその地域で生活する人々のうちどれだけの数の声を代弁しているか、つまりどれだけの重みをその双肩に担っているか、を示すものと捉えることができます。やや乱暴ですが、、
その観点からすれば、宇都宮市議は11,606人の声の代弁者、那珂川町議は1,323人の声の代弁者となり、その差は約9倍にもなります。(宇都宮市はある意味外れ値でもあるので、市議平均の5,086人と比較しても約4倍の開きになる)
極端な話になりますが、9倍もの人の声を拾い上げなければならないのであれば、報酬額が3倍の差であってもよいのではないか、という議論すら成り立ってしまいます。
もちろん、報酬額の絶対額が少ないことは、記事で指摘されている通り、議員のなり手不足の大きな原因の一つと推察され、その解消は急務でしょう。
が、自治体の財政運営上、総額を今以上に確保することは現実的なことではなさそうです。
そうなった時に頭をよぎるのが、「人口規模に見合った定数設定」ということになります。議員定数を減らせばその分一人あたりの報酬額は単純に増えることになります。
そして、その次に考えるのは、同規模の自治体に比べて自分の市町の議員定数は多いのか少ないのか、減らすとしてあとどれだけ減らせそうかといったことになり、そこで人口や議員定数についての他自治体との比較情報が必要になる訳です。
ただの問題指摘を超えた、課題解決につながりうる指摘がメディアには求められるところでしょう。
そういう意味で、報酬額に加えて議員定数も考慮すべきファクターであることが簡単に推測される訳ですので、この手の記事にはそれらの内容が併記されてしかるべきなのではと思った次第です。
今回のエントリーでは(一面的でない)多面的な情報をもとに考えることの必要性についてしか触れられていませんが、本来考えるべきは、「地方自治体にとっての最適な議員定数とは」というところです。
しかし、こればかりは圧倒的に不勉強ゆえ、今回のデータ収集の内容だけではとても手に負えないシロモノです(苦笑)
ここまで書いていて改めて思うのは、
・地方議員は一人あたり1,000~2,000人もの声を拾う活動をちゃんとしているのだろうか
・市議平均の一人あたり人口が約5,000人であることから逆算していくと、ひょっとして議員定数は大幅に削減できる余地があるのかもしれない
ということです。
もちろん、考慮すべきファクターは人口に限らず面積であったり、産業構成であったり、その自治体独自のこれまでの経緯(市町村合併など)であったりと、シンプルな数字で一概に割り切れるものでないことは分かります。
また、一定以上の議員定数を確保することは、民主主義の場で多様性を担保するためのシステムとして、大きな役割を果たすものと期待されています。
しかし、財政的な制約が大きくのしかかっていることもまた事実です。
こと地方議会については、多面的かつ客観的な情報の整理と、これからの議会に求められる役割の整理、この二つの作業に着手することが考えるスタートになる気がしています。
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